優雅なホームレス紳士たち

るとき,ぶらぶらとリヒテンターラーアレー公園を歩いていたら,いつもは誰かがプレイしている,地面に描かれた大きなチェス盤が空いていたので娘と一試合することにしました。最近覚え始めたばかりにしては上達が速いので,てこずりましたが,少し手加減してもぼくのほうが勝つ寸前まで進んだ,そのとき・・・

ベンチで寝ていたおっさんがのそっと起き上がって娘に目配せして一手一手教えるのです。
あれよあれよというまにぼくは負けてしまいました。

よし,もう一回,と改めて始めたら,おっさんは立ったまま,今度は躊躇することなく,娘に手どころか,チェスのテクニックの手ほどきまで始めるのです。
当然,ぼくはまた負けました。
そして,おっさんはニコリともせず,一言もいわず,ベンチに戻りました。

酒,チェス,そして静けさ

バーデン・バーデン公園管理局の職員が毎日のようにきれいにしている,手入れが行き届いたリヒテンターラー公園のど真ん中。目の前には世界中のVIPが宿泊するドイツでも指折りの高級ホテル。そこの巨大チェス盤を囲んでいるのは半分以上はホームレスではなかろうかと思うほど。

酒の臭いがプンプンで,衣服も当然ながら質素を超えてボロ服の男どもが多いですが,たまに,というか結構おしゃれな人たちもよく目にします。
早朝に近くを通ると,ひとりふたりベンチで寝ているのでやっぱりホームレスなのです。
レオポルト広場の角には,いつも犬と一緒にショーウィンドウに足を組んで腰かけている,帽子と葉巻が決まっている乞食がいます。

金銭ゼロで,素晴らしい自然環境を楽しみ,たっぷりの時間を有意義に過ごすことを知っている人たちがバーデン・バーデンには結構いることの発見です。